「これが、俺たちのすべて。」帯に書かれた言葉に偽り無しの、20周年のキャリアを総括する本がこの冬出版されました。
スピッツのオフィシャルブックと言えば、「フェイクファー」期に、ロッキング・オン紙から出た単行本「スピッツ」(装丁ももこもこフェイクファー仕様。カワユス!)も、RO社のお家芸、2万字インタビュー×4本がしっかり収録され、なかなか読み応えがあるのですが(そうそう、初期のスピッツ番は、現「スヌーザー」編集長のタナソウさんだったんだよねー。氏による「架空インタビュー」、面白いっす)、この「旅の途中」は、メンバー4人全員の手による、まさに自伝的キャリア総括本なのです。

特に興味深いのが、作品の製作に関わるプロデューサーやエンジニアとの関係について、とても詳細に語っている点。ブレイク前夜の「空の飛び方」で、アメリカから事務所が呼んだエンジニアのミックスに納得がいかなくて、その旨を正直に伝え、帰ってもらったことが、バンド内で音へのこだわりを追求していくきっかけとなったこと。ミックスダウンによる音の違いを確かめる為に、一度日本で作った音源を持ってマイアミまで飛び、そこで同じ曲を再び録って、自分達の今までの音作りを見直そうと試みたこと。その意識の高さ故、バンドの意思と無関係に出されたベスト盤「RECYCLE」では、収録曲の再ミックスダウンをバンド側に一任させるよう求めたこと(結果、皮肉にもマサムネにとって、いい音の基準になるような好盤になってしまったとか)、「ハチミツ」「インディゴ地平線」といったブレイク期のプロデューサー笹路氏はまるで師匠のような存在で、様々なことを学んだ一方、仕上がりの基準等を頼りすぎて、笹路氏と離れて作った「フェイクファー」では迷いが生じてしまったこと、ベスト盤リリース後の仕切り直しにしてバンド最高傑作「ハヤブサ」のレコーディングでは、同年代のプロデューサー石田小吉(現ショーキチ)とは、師弟というより同志といった感じで、突き抜けた勢いがバンドに与えられたということ、、、亀田誠治氏プロデュースの現在の「安定期」に入るまで、20年という歴史の中で、飄々とした外見の裏で、「ロックバンドらしい音を作る」ということにもの凄い労力と情熱が注がれて来た、というエピソードの数々に、優雅な白鳥も水面下では必死に脚をこいでいる、、、なんて例えも軽々しく見える位、改めて感心させられる。そりゃそうだ。生き馬の目を抜くように目まぐるしく移ろいで行くポップ・マーケットの中で、派手なルックスやブームに頼らず、作品の良さだけで支持され続けてきたバンドなんだ、スピッツは。辛うじて彼等のキャリアの半分よりちょっと長い時間をリアルタイムで接し続けてきた世代であることを光栄に思いつつ、「旅の途中」のその先も、ずっと聴き続けていきたいものです。



■幻冬舎「旅の途中」ページ

■マイ・ベスト・スピッツソング、'8823'ライヴヴァージョン。田村さんが弾け過ぎ。でもこの映像はまだいい方。だって、俺が生で見ただけでも、3本ベース折ってるもん。

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