三夜連続、ザ・ジェッジジョンソン祭りも今宵で終了。「全曲感想」の続きをどうぞ。ホリ、ごめんね、エマちゃんのアルバムがリリースされた暁にはたっぷり差し上げるから堪忍な。
◆on the White Line
アルバムの終盤に近づけば近づくほど、シャープなビートは影を潜め、かわりに穏やかで暖かみのある音が存在感を増していく。ゆるやかなリズムに乗せて深いリヴァーヴのかかった声が響き渡って、時折姿を現すチップトーンが暗やみに光る星のように色を添える。
歌詞カードの日本語訳、「路面電車」と「環状線」という単語に眼が止まる。ああ、環七と東急世田谷線が交差する若林交差点を抜けるあたりかしら、と妙に鮮明な情景を思い描いていたら、バァフアウトのインタビューに答えてじゅにあ氏曰く「結婚する元カノを車で送っていった実体験が基になってます」と。…うわあ、生々しい。
◆20miles
静かに刻まれる細やかなリフは、寄せては返す波のあらわれか。しなやかで感情豊かなギターのフレーズが耳に残る。オクターヴ離れた二声で歌われるヴァースは老いた「あなた」と「僕」が寄り添う姿のようにも見えて。
◆百年の花
『12 WIRES』は、この曲にたどり着くための作品だったんじゃないかとさえ思わされた。それほどのスケールの大きさと、疾走感とを併せ持った名曲。オルゴールのように跳ねるフレーズにストリングスが重なり、1年前には想像もつかなかった深みのある歌声が響く。ああ、ひとの歌声はこんなにも変化するのか。それは鍛錬の成果なのか、心のありよう次第なのか。
「ぼろぼろの/お気に入りの/二枚のタオルに名前を付けて/孤独と暗やみに/眠るまで立ち向かっていた(OPUS AND MAYVERSE)」と歌っていた彼では、もうない。いや、同じなのかもしれないけれど、紡ぐ言葉の強度が増すとともに自信と確信に満ちた声になったと感じる。
じゅにあ氏の書く詞は完璧な「物語」だといつも思う。例え”on the white line”のように衝撃的なネタばらしがあったとしても、楽曲の主人公がじゅにあ氏そのものに見えることはあまりない。もっと普遍的で、断片的なストーリーの積み重ね。それを「虚構」と呼べばネガティブなイメージが先行するけれど、これはまだ見えぬ未来を強い意志で思い描いて書き記した物語だろう。そう、世界はいつだって誰かの願いで変わっていく。
◆say YEAH
ふと混信した無線のように帯域の詰ったサウンド。シンプルな言葉の羅列で、ただひたすらに誰かの肯定を乞う小品。ここまでの世界を創りあげておいて、いったい何に怯えてるの?
◆CONTINUE?
平坦に繰り返されるビートに紛れて、ビーダッシュだけでは飽き足らずファイアボールまで繰り出す有り様。そうか、マリオなのかお前ら。ジェッジって、どっちかというとロックマンのイメージなんだけどな。しかし、昨年末から使われていた開演前SEがラスト・トラックだなんて、相変わらず小憎たらしいことをしやがる。そう、パッケージされた『12WIRES』が終わったら続きはフロアで。ヘッドフォンからじゃなくて、からだ全体で繋がりに来いってことだ。へえ、上等じゃない?100円玉積み重ねて付き合ってやろうじゃない。
インタールードとして差し挟まれた4つのセグメントは、じゅにあ氏のこだわりが炸裂したシャープなエレクトロニカ。全16曲の触れ幅の広さとカラフルさに惑わされつつも、駆け抜けてみればトータル55'18"というコンパクトさ。 2ndリリースの取材に応えてさらりと「もう3rdのレコーディングに入っています」と言ってのける彼ら、次作は『リストライクス』と呼ばれる作品とのこと。かつて告知されていたものと同様ならば、Discoveries以前の旧作をリメイクした作品になるはず。さあ、押しっぱなしのビーダッシュの果てになにを繰り出してくるのか。一息つく間もなく、こっちも追いかけます!
■iTS: ザ・ジェッジジョンソン - 12WIRES
◆on the White Line
アルバムの終盤に近づけば近づくほど、シャープなビートは影を潜め、かわりに穏やかで暖かみのある音が存在感を増していく。ゆるやかなリズムに乗せて深いリヴァーヴのかかった声が響き渡って、時折姿を現すチップトーンが暗やみに光る星のように色を添える。
歌詞カードの日本語訳、「路面電車」と「環状線」という単語に眼が止まる。ああ、環七と東急世田谷線が交差する若林交差点を抜けるあたりかしら、と妙に鮮明な情景を思い描いていたら、バァフアウトのインタビューに答えてじゅにあ氏曰く「結婚する元カノを車で送っていった実体験が基になってます」と。…うわあ、生々しい。
◆20miles
静かに刻まれる細やかなリフは、寄せては返す波のあらわれか。しなやかで感情豊かなギターのフレーズが耳に残る。オクターヴ離れた二声で歌われるヴァースは老いた「あなた」と「僕」が寄り添う姿のようにも見えて。
◆百年の花
『12 WIRES』は、この曲にたどり着くための作品だったんじゃないかとさえ思わされた。それほどのスケールの大きさと、疾走感とを併せ持った名曲。オルゴールのように跳ねるフレーズにストリングスが重なり、1年前には想像もつかなかった深みのある歌声が響く。ああ、ひとの歌声はこんなにも変化するのか。それは鍛錬の成果なのか、心のありよう次第なのか。
「ぼろぼろの/お気に入りの/二枚のタオルに名前を付けて/孤独と暗やみに/眠るまで立ち向かっていた(OPUS AND MAYVERSE)」と歌っていた彼では、もうない。いや、同じなのかもしれないけれど、紡ぐ言葉の強度が増すとともに自信と確信に満ちた声になったと感じる。
じゅにあ氏の書く詞は完璧な「物語」だといつも思う。例え”on the white line”のように衝撃的なネタばらしがあったとしても、楽曲の主人公がじゅにあ氏そのものに見えることはあまりない。もっと普遍的で、断片的なストーリーの積み重ね。それを「虚構」と呼べばネガティブなイメージが先行するけれど、これはまだ見えぬ未来を強い意志で思い描いて書き記した物語だろう。そう、世界はいつだって誰かの願いで変わっていく。
◆say YEAH
ふと混信した無線のように帯域の詰ったサウンド。シンプルな言葉の羅列で、ただひたすらに誰かの肯定を乞う小品。ここまでの世界を創りあげておいて、いったい何に怯えてるの?
◆CONTINUE?
平坦に繰り返されるビートに紛れて、ビーダッシュだけでは飽き足らずファイアボールまで繰り出す有り様。そうか、マリオなのかお前ら。ジェッジって、どっちかというとロックマンのイメージなんだけどな。しかし、昨年末から使われていた開演前SEがラスト・トラックだなんて、相変わらず小憎たらしいことをしやがる。そう、パッケージされた『12WIRES』が終わったら続きはフロアで。ヘッドフォンからじゃなくて、からだ全体で繋がりに来いってことだ。へえ、上等じゃない?100円玉積み重ねて付き合ってやろうじゃない。
インタールードとして差し挟まれた4つのセグメントは、じゅにあ氏のこだわりが炸裂したシャープなエレクトロニカ。全16曲の触れ幅の広さとカラフルさに惑わされつつも、駆け抜けてみればトータル55'18"というコンパクトさ。 2ndリリースの取材に応えてさらりと「もう3rdのレコーディングに入っています」と言ってのける彼ら、次作は『リストライクス』と呼ばれる作品とのこと。かつて告知されていたものと同様ならば、Discoveries以前の旧作をリメイクした作品になるはず。さあ、押しっぱなしのビーダッシュの果てになにを繰り出してくるのか。一息つく間もなく、こっちも追いかけます!
■iTS: ザ・ジェッジジョンソン - 12WIRES
12WIRES(初回限定生産盤)(DVD付) THE JETZEJOHNSON by G-Tools |
- 2009.02.20 Friday
- THE JETZEJOHNSON
- 00:00
- comments(0)
- trackbacks(0)
- by eri