メジャーデビュー作からわずか10ヶ月のリリース。『Discoveries』ツアー最終日の翌日、5/31から製作に入り、マスタリングが終了したのが12/12だという。もちろんその間にも大規模なロックフェスティバル、全国各地で開催された同時多発的ライヴサーキット、そしてこれまで彼らを育んだ下北沢に代表される小さなライヴハウスまで、全国を廻り数多くの公演をこなしながら制作された、THE JETZEJOHNSONの新作『12WIRES』は、彼らのあまりにも明白な攻めの一手だ。
『12WIRES』というタイトル通りの12曲と、セクションを分かつ4曲のインストで構成された全16トラック。一聴したイメージはとてもカラフルで、多種多様な要素が詰め込まれている。前作が「これが我々、ザ・ジェッジジョンソンです」という名乗りの如く、これまで彼らの持ち味として語られていたエレクトロ色を強く押し出した作品だった事を思うと、非常にポップで開かれた印象の強いサウンドだ。ポップでありながらも、徹底的にロックバンドたろうとするスタンスがビリビリと伝わってくる。そして、ひとつひとつの音が有機的であたたかい。
じゅにあ氏は「ジェッジジョンソンにとってロックは骨、エレクトロは神経組織のようなもの」と言う。それならばオーディエンスと相対して繰り広げられるライヴ体験は彼らの血であり肉であるのだろう。事実、この1年で彼らのライヴは大きな変化を遂げた。彼らの生み出す音の壁に圧倒されて立ち尽くすばかりだったオーディエンスは、重厚なビートに弾かれるようにステップを踏み、ステージから煽られるがままに拳を突き上げる。そんなフロアの熱気は上昇気流となってステージに戻っていく。ROJの古川氏が彼らに冠した「ワイヤード・ロック」というカテゴライズの通り、生身の身体と機械、そして人と人が結びついていくようなライヴを見せるようになってきた。
「踊りたいヤツは前へ、そうでないヤツは後ろへ!」なんてMCに苛立ちをにじませていた時期もあったけれど、もはやそんな必要はない。組木細工のように綿密に計算されたプログラミングと、予測不可能なオーディエンスの熱気。そしてすべてを叩きのめすような、圧倒的な音の存在感。全てがぶつかりあって熱を帯びるフロアに応えるように、思い切りライヴ感に溢れた作品が届けられた。静と動を軽やかに行き来しながら叩き出されるビートを浴びて、突っ立っていられる人なんていないはず。さあ、一緒にフロアで踊ろう。空に突き上げた腕でなにかをつかもう。明日を望む人の上には、陽の光はいつも訪れるから!
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ホリの“Dark Was The Night”特集に引き続き、2/18リリースのTHE JETZEJOHNSON『12WIRES』特集を三夜連続でお届けします。気分は1980年代のロッキング・オン名物「架空インタビュー」で。どうぞ、お付き合いください。
■iTS: ザ・ジェッジジョンソン - 12WIRES
12WIRES(初回限定生産盤)(DVD付) THE JETZEJOHNSON by G-Tools |
- 2009.02.18 Wednesday
- THE JETZEJOHNSON
- 00:08
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- by eri