先日、新編成となってはじめてのワンマンライヴを終えたジェッジジョンソン、エレクトロ色全開のリミックスがフリーダウンロードできるようになっています。いまのところ三曲ですが、今後は廃盤となった作品のリビルド版も提供されるとのこと。ワンマンでCD-Rが無料配布された "マーヴェラス・チアー(Rebuild)"も、当月中にはダウンロード公開されるそう。

Latest tracks by JETZEJOHNSON

週末の新旧織り交ぜたワンマンライヴは大盛況、素晴らしいライヴでした。サポート各氏には三者三様のうまさと個性があるし(最近ジュンのはっちゃけぶりがすごい。ドラムってあんなに前に出るぱーとだっけか)、ライヴを重ねることによって「サポートメンバの集まり」から「ひとまとまりのバンド」になりつつある。

ただひとつ苦言を呈するなら、今のサポートメンバーがあまりにも「いいロックバンド」たらんとしていること。藤戸氏ひとりになって活動形態が自由になったせいなのだろうけど。ロックとエレクトロを分かつ境界線上を全力で走り抜ける、希有なバランス感覚をもつステージがわたくしがジェッジを愛する一番の理由だったから。この変化は正直なところ、少し寂しい。あの"Dancetek"でさえ、同期モノの印象が薄くなってバンド然としたサウンドに変わってきてる。

今回公開されたトラックが素晴らしいのは言うまでもないのだけど、「ひとりでエレクトロ、バンドでロック」っていうんなら、それはちょっともったいないぜ、藤戸さん。頼むよ。



"GAME OVER, ARE YOU CONTINUE?" とフロアに問いかけるはずのところで、"We Are JETZEJOHNSON!" と咆哮した、小柄なひとのことを想う。ザ・ジェッジジョンソン、結成以来長らく続いたバンド体制に終わりを告げるライヴ終盤のこと。

「精緻に積み上げられたエレクトロのきらめきと、下北沢という街に鍛えられた重みのあるロックバンドとしての姿、その両方を持ち合わせたのがジェッジジョンソンである」…何度でも繰り返すけれど、わたしが思うにジェッジの一番の魅力はここだ。だからなかたんと壮一さんが抜けて藤戸氏のソロプロジェクトになる、という声明を聞いた瞬間は、からだが半分になったような気持ちさえした。彼らがステージに立った時の、クールさと熱情が混ざり合った絶妙なる空気がもう味わえないだって?勘弁してくれ。

告知があってからというもの「はやくSOLID BREAKS UPPERの楽曲をライヴで見たい」という思いと、「これが終わったら次はどうなってしまうのだろう」という杞憂がないまぜになった日々をずっと過ごした。そしてこの日、いつもどおりに駆け抜ける100分が過ぎて、いつもどおりに「またっ!」と言ってステージを去っていった藤戸氏を見たら、なんだか逆に安心した。そっか、そういうことか。


入りのSEは「CONTINUE?」。新作リリース以降も変わらぬ定番。自然と沸き起こるハンドクラップをかき消すように、シャープなギターが鳴りわたる「the i of TODAY」から、あかるくて伸びやかな楽曲が並ぶ。万全の調子ではなさそうだけど、藤戸氏の声ががっちりとしたバンドアンサンブルの上を軽やかに駆け抜けていく。ああ、彼ら4人はほんとうにいいロックバンドだ。ライヴ初披露の曲も、10年前からある曲も、すべてが今のジェッジの音で鳴らされていく。

「Last entertainer say Right here, Right now」から連なるシーケンスには正直腹を立てる。なんで今までこれを聞かせない!という理不尽な怒りだけど。重たく体を揺らすビートが途切れることなく続く、ライヴ・ロング・ミックス。聞きなれた楽曲の境目に突如現れる、鮮やかな切り返しに耳を奪われる。「Dancetek」前の焦らし方なんて、まんまハウスDJじゃないか。そして幾度となく耳にした、あまりに印象的なリフとともに溢れかえる光。まわるミラーボール。跳ねまわるオーディエンスに耐えきれずしなう板張りのフロア。ああ、いつまでもこの曲が終わらなければいいのに!

はじけ飛んだ光はどんどん高みへ。沸点に達したフロアを冷ますように、柔らかな想いを込めた楽曲が続く。「オーパス・アンド・メイヴァース」のアルペジオはいつだってこころをひんやりとさせる。冴え冴えとした月の光のようなうつくしさ。藤戸氏が手にしたマイクに、からだ全体から振り絞るようにして声を乗せていく姿にも、ずいぶん慣れた。「百年の花」で、ぐっと大向こうを見据えて「見慣れた景色が 暁に溶ける」とうたう姿にぞくりとさせられる。

機材トラブルはジェッジの華、とは誰が言ったものか(誰も言ってない)。この日のトラブルは藤戸じゅにあ張本人。ライヴ初披露の「STAY」冒頭で歌詞を飛ばすとはなかなかやってくれるじゃないの。動揺のあまり口走ったとおぼしき「本当は泣きそうなんだぞ」という軽口に、心臓が握りつぶされたような気持ちになった。謝って止めようとしても全然演奏をやめない三人、グッジョブ!

「the Great Saling」は、ベースのフレーズに勇敢さを感じるのが好きだ。広大な海をかきわけて進む勇気と力強さ。思えば初めてジェッジの音を耳にした7年前にも、この曲は奏でられていたはず。冒頭のアレンジがガラリと変わっていても、ジュンのスネアが変則的な裏拍子を刻むので気がつく「HEADLINER OF THE YEAR」。終わりの時が近づいてきた予感を、振りはらうようにリズムに乗る。

それにしても「Tomorrow」のライヴ映え/化けっぷりはやっぱり素晴らしい。ポップでかわいらしささえ溢れる音源からは想像がつかない、ごりごりのロックチューンに姿を変える。この曲が、このメンバーで奏でられ磨かれていく姿を見られないのが、少し残念だ。そしてラストチューンは、やっぱり「CONTINUE?」だった。すべてを叩きつけるように音を奏でるステージ上の4人と、それに呼応しひとつのいきものになったようにうねるフロア。 ”ARE YOU CONTINUE?” という問いかけには、いつだって力強く「YES」って答えてるのに、上気した体と残響音を残して彼らはステージを降りていく。そして今日もまた。
the i of TODAY / 夜をこえて / 陽の当たる場所へ / for the Right time / 一心不乱のクラウディ // Last entertainer say Right here, Right now / Terminal Breakdown / 02mixedlouder / Fury / Dancetek // coma / オーパス・アンド・メイヴァース / 百年の花 / RIDHAM M // STAY / the Great Saling / HEADLINER OF THE YEAR / Tomorrow / CONTINUE?


終演後のステージに現れたハートマーク(らしくないこと、するよねえ)を見ながら考えたこと。ジェッジの名前が藤戸氏のソロプロジェクトになったところで、彼の生み出す音楽がスタジオでの孤独な作業だけで完結するものだとは思えない。誰かとともに立つステージでも、フロアと渾然一体になるブースに立つ時でも、彼がひとりで音を鳴らすことはきっとない。フロアからの悲鳴じみた ”ARE YOU CONTINUE?” と、ステージからの "We Are JETZEJOHNSON!" を片方ずつの耳で聴きながら、当たり前のことを再確認した。そう、"We" が指し示すものがちょっと広くなっただけ。長らく背負い続けてきた看板を下ろさないのは、そんな意思の現れだと信じたい。だから、これからもついていく。いいもの見せてよね? 頼むよ。

■ Tomorrow's Song: THE JETZEJOHNSON / SOLID BREAKS UPPER
■ Tomorrow's Song: THE JETZEJOHNSON / 12WIRES
■ Tomorrow's Song: THE JETZEJOHNSON / Discoveries

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追記:この日のことはどうしても忘れたくなかった。なのでステージ写真を撮らせてもらいました。3+1のジェッジジョンソンをずっと見てきた目で。
■ Exhivision | works | THE JETZESJOHNSON



ご無沙汰してます、ジェッジ番アオキです。わたくしのみならずイワホリもすっかりTwitterの住人となりまして、更新が滞り過ぎております。ほぼ日刊更新のカンバンはそろそろ潮時かもしれない…。いやいやいや!そんなことはない!ないよな?>イワホリ

さて、ザ・ジェッジジョンソン待望のサードアルバムがついにリリースされました。iMSでの先行配信、それにあわせて全曲解説Ust(まったくもって「試聴」ではなかった。メンバーの単なるダダしゃべり)があったりしましたが、やっぱりフィジカルリリース当日はずっとそわそわして、襟を正してプレイボタンを押すのです。

「やっと太陽の光が当たる場所に来た」

あかるくて澄んだ、風の吹き抜けていくような音。正直、ジェッジがこんなにポップな音を出す日が来るなんて思いもしなかった。地下にきらめくミラーボールの反射光ではなく、熱狂に沸き立つステージを照らすステージライトでもなく、穏やかで凛とした太陽光のすがすがしさ。1stと2ndのリリースで、すでに彼らの振り幅の両端を見せつけられた気分でいたけど、まだまだ甘かった。リリースの度にこうまで新しい顔で出てこられると、嬉しい驚きと少しの憎らしさがないまぜになった気分にさせられるな。

なにより一番変わったと感じるのは、じゅにあ氏のヴォーカル。メロディに乗せられる言葉もずいぶんストレートなものに変わったし(彼の書く歌詞の虚構めいた情景描写が好きだったので、この変化には少し戸惑うところもある)前を見据えて、きっちりと言葉を相手に届けるように、ていねいな声でうたうようになった。精緻に組み上げられた音の狭間を、しなやかに駆け抜けていく声が耳に残って離れない。

前作『12WIRES』と比べれば、いわゆるロックバンドらしさはぐっと影をひそめたけど、妙に印象に残るベースラインや、メロディラインを喰いかねない華やかさで歌うギターヒーローは相変わらず健在。音源を聴くだけだとこれがライヴで鳴らされた時にどう響くのか、まったく想像がつかない。先立って発表された、ちょうキュートなポップチューンの『Tomorrow』が笑いが止まらなくなるくらい野太いロックアレンジになってた事を思うと、アルバム曲の化けっぷりが本当に楽しみ。ツアーの幕開けとなるワンマンライヴは7/17、代官山UNITです!

■ SOLID BREAKS UPPER / THE JETZEJOHNSONザ・ジェッジジョンソン - SOLID BREAKS UPPER
■ Tomorrow's Song: THE JETZEJOHNSON / Discoveries
■ Tomorrow's Song: THE JETZEJOHNSON / 12WIRES





ザ・ジェッジジョンソン、メジャー初のシングルはとっておきのエレクトロ・ポップチューン。「エレクトロ」で「ポップ」というと、高音域がキラキラとした深夜のダンスフロア映えしそうなイメージが強いけれどあにはからんや。パキリと張りの良い音像から浮かぶはすこやかに晴れ渡った青空。つくりものではない、あたたかで心を鼓舞する力強い光。前作では「陽のあたる場所へ/走っていけ/進んでいけ!」と光を切望する言葉をくちにしていた彼らが、自らの翼で青空に飛び立ったような、そんな印象を受けた。高く低く空を滑空する、バーズ・アイ・ビューな2曲。

じゅにあ氏のヴォーカル、また大きくスタイルが変わった。かつてあった硬質で神経質な響きはすっかり影をひそめて、ハイトーンで伸びゆく声は甘やかでちょうかわいい。それにしても、さっきかんたんに「エレクトロ」という形容を使ったけれど、打ち込みでもバンドサウンドでもない、まさに両者が溶け合ったような情報量の多いサウンドに圧倒される。ベースやドラムでさえどこまでが生身の音なのか判別できない。どっしりとかまえるリズムセクションも、軽やかに跳ね回るフレーズも、ひとつひとつが非常に精緻に練られた配置で鳴らされてることがよくわかる。

いや、これ、ほんとライヴではどうなっちゃうんだろう。「作ったは良いけど、ステージでは鳴らせませーん」なんて彼らが言うわけないからね。あんまりスケジュール発表されないので気になってるんだけど。そして、地続きであろう5月リリースのアルバムもあわせて、ほんとうに楽しみ。それまではヘッドフォンから耳にねじ込まれる感覚を楽しむ。さ、ジェッジ番の面目躍如な季節がやってきましたよ。

■THE JETZEJOHNSON: official site
■iTS: Tomorrow / THE JETZEJOHNSON ザ・ジェッジジョンソン - Tomorrow - Single - Tomorrow

復活早々、口を開けばジェッジの話でごめんなさい。先日行われた札幌のライヴにて、新作のリリーススケジュールが発表されました。2nd発売直後に「年内には新作を!」なんて言っていたのにどうしたのかと心配していたのだけど、とりあえず一安心。
【新着情報】CD発売に関するお知らせ

下記の日付にて発売が決定いたしました。
・2010/2/3(水) 1st シングル発売
・2010/3/3(水) 3rd アルバム発売

http://www.jetze.net/?p=1395

だそうです。え、シングル!?

発表時の藤戸氏MCによると(そう、札幌まで追っかけたりしてるからここの更新がパタリと止まっていたのでした…)
「ワイヤード・ロックとか、ロックとエレクトロの融合とか色々言っていただいてますが、これまでに築き上げてきたものを全部ブチこわすタイトルです」
「みなさん、ドン引きすると思います」
「もうここまで(のどもとに手をやる)タイトル言いたくて仕方ないんですけどね」
だって。自らずいぶんハードル上げてますが、いったいなにがでてくるのやら…。

リリースに関する詳細は大晦日に発表とのことでしたが、今年はCOUNTDOWNJAPAN出ないんだよなあ。どこかで年越しライヴやるのかやらないのか。そわそわしますわ。

"Now, we get up with thousands of blave words!"

「越えた」ライヴだった。越えたのは『12 WIRES』という作品であり、個々の存在ではなく目に見えない「オーディエンス」という総体としてのお客さんであり、「ザ・ジェッジジョンソン」と名付けられた自らの姿であったかもしれない。あれだけ熱狂した大阪ワンマンも、今日のためのステップに過ぎなかったのか、とさえ思わされた。

ほどよい人入りの恵比寿リキッドルーム、セットリストは大阪ワンマンをブラッシュアップさせた雰囲気。頭からがつんとロックモードで叩き付けて、中盤はエレクトロでゴリゴリに踊らせて、後半に行けば行くほどポップでメロディアスになる、というアルバムの流れを踏襲して、折々に旧曲を折り挟むというスタイルは変わらず。ホームであるはずの東京なのに、冒頭のステージ上に漂う緊張感はただごとではなかった。大阪はフロアの方が緊張してたのにね。

そんな緊張感も奏でられる音が増えるに従ってあっというまに解けていって、珍しく壮一さんが淡々とMCをして、なかたんはひたすら前方でフロアを煽りまくってて、じゅにあ氏は絶好調ではなかったようだけどえらく楽しそうな顔をしてた。後方できゃあきゃあはしゃぐように笑顔でリズムを刻むジュンも素敵だったし。これでいいライヴにならないわけはない。

ああ、それにしてもHalf Worldは嬉しかった。イントロの弾むような四つ打ちが聴こえて来た途端に鳥肌がたつような心持ちになる。dancetek以前はDJするときに絶対外さないくらい好きな曲だったから、今日、この場所で聴けて本当によかった。「支えてくれた手のぬくもりは今も僕の胸に」のフレーズで、軽く胸を叩いたじゅにあ氏の仕草にドキッとする。

大阪でも感じたけれど、やっぱりCONTINUE?は異常だ。音源だとあんなにミニマルで、D-Beamでぐねぐねベンドされるヴォコーダーボイスだけが命を持っているように聴こえるのだけど、ライヴだとそれぞれのパートが別々の意志を持って荒れ狂いながらひとつの楽曲を成してゆくイメージ。フロアもステージも一緒くたになって混沌の渦に巻かれるばかりで、声を合わせて叫ぶのが「ビーダッシュ、アンド、ファイアボール!」って冷静に考えると笑えるけど。なんなんだろう。「ライヴの躍動感」「ステージとフロアの相互作用」とか、そういう言葉ではくくれない奇妙で比類無き時間。果たして制作中にこの曲がここまで化けると予想してたのだろうか。

百年の花をあえて本編から外したのは、この曲に対する思い入れの深さ故か。「好きな人はいますか?片思いの人はいますか? あなたの好きな人と、そして僕の好きな人にこの歌が届きますように」ひとりごちるようなじゅにあ氏のMCに、どんな顔していいのかわからなくなる。ハンドマイクで、からだ全体を使って自由に、こころゆくままに歌いたおして、フロアはすっかり穏やかな空気に包まれた。

深々とお辞儀をしてメンバーがステージを去って行っても、まだまだ熱を帯びたフロアはそのままおとなしく帰るわけもなく。すっかりアンコールの定番になった二曲で力いっぱい拳を振り上げて終幕。じゅにあ氏の「またっ!」を聞くと、本当にもう終わっちゃうのなという気になる。アンコールまで含めると大阪と曲数はほとんど変わらないのだけど、やたら濃密でタイトな二時間。前方ブロックでさんざ盛り上がっていたので、すっかり汗だくで湯気さえでそう。

「メジャーシーンへの名乗りを上げる」なんて新人めいたことを言うのもそろそろ言い納め、今のジェッジは確実に広がって行く状況下にあるのだろうと実感。出会ってから8年も経つのに見るたびに新しい発見があって、リリースの度にこっちの予想を軽く越えて行く。そういう存在が身近にある事が何よりも幸せだ。こころから感謝。この夏も秋もこれからも、ジェッジのゆく先が心底楽しみになった夜だった。
opening: CONTINUE?
HEADLINER OF THE YEAR / 陽の当たる場所へ / for the Right time / Vivas the RIOT
Pixelstorm / Terminal Breakdown / 02mixedLouder / Dancetek
20miles / Tide of Memories / Cloudie the Cooker on Fire / Diva
Half World / Pizza / CONTINUE?
en1: 百年の花
en2: Buskes / Thousands Of Brave Word

■Tomorrow's Song category: THE JETZEJOHNSON



あれだけ熱を上げた『12WIRES』発売後、初の長尺ライヴということで矢も盾もたまらず大阪まで行ってきました。LIVE SQUARE 2nd LINE、ジェッジ史上初めての大阪ワンマンライヴです。

公称キャパ200の会場は程よい人の入り。開演前のフロアはものすごい期待感と緊張感と彼らを渇望する気持ちに満ちていて、一曲目の最初の音が鳴った瞬間、圧縮された空気が爆発したように熱が膨れ上がった。リリース時のインタビューで「ライヴは一切代替やごまかしの出来ない空間だからこそ、そこで勝負したい」と散々繰り返していたじゅにあ氏。その言葉にひとつの嘘もなく、あの四人が鳴らす音こそが今のザ・ジェッジジョンソンなんだということを実感しました。

基本的には『12WIRES』の流れを意識したセットリストだったように思うけれど、不意に5,6年前の楽曲を折り挟んでみたり(次回作は旧作のリメイク盤になるとのことなので、この辺がヒントになるのかも)BPM170でぶっちぎるラウドなエレクトロ/ロックチューンと、祈るようにハンドマイクを手にして歌い上げるミドル・ナンバーのコントラストが見事でした。この振れ幅こそがジェッジの大きな魅力なのだと思う。

そもそもがモンスターのような『12WIRES』の中で、一番の化け物はアルバムラストを飾る“CONTINUE?”でした。チップチューン全開のポップで端正なこの曲が、ステージ上ではメンバーもオーディエンスも全てを飲み込む轟音のうねりに姿を変える。じゅにあ氏は細い首筋に血管を浮かばせながら叫び、中沢くんは前方に歩み出て心ゆくままフロアを煽り、壮一さんはギターを抱きしめるようにして轟音の壁を作る。そうそう、音源ではジュンのドラムではない楽曲もいくつかあったんだけど、どの曲もすっかりジュンの音に馴染んでいて驚かされた。

そう、そんな姿を見せつけられながら、“please press enter key”なんて言われたら一も二もなく連コインするよな。アンコール三回引きずり出すまで止むことのなかった手拍子と歓声も、きっと同じことを思ってたはず。Are You Continue?
opening: CONTINUE?
Pixelstorm / HEADLINER OF THE YEAR / 陽の当たる場所へ / for the Right time
Vivas the RIOT / Terminal Breakdown / Vitalogy
LOUDER / 20miles / 百年の花
Tide of Memories / Cloudie the Cooker on Fire / Diva / Pizza
CONTINUE?
en1: 02mixedLouder / Dancetek
en2: 太陽の帝国(いっぺんやりなおし)
en3: Buskes

ちなみに「また痩せました。いま41kgです。(客席から悲鳴)…女子、がんばれ」っつー全女子の9割がたを敵に回す藤戸MCに動揺を隠せません。41て。中身ちゃんと詰まってるのかしら。東京で見るライヴに比べて表情がずいぶん柔らかかったな。そしてまっすぐ前を見据えてうたうようになった。こちらにも、がっちり届きます。

てなわけで、結局は大阪特有の熱気なのか、12WIRESという作品の効果なのかわからないけれど、今までのジェッジとは格段に放出された熱量の違うライヴでした。このテンションを来週27日のリキッドルームでも感じられればいいな。楽しみです。

■iTS: THE JETZEJOHNSON / CONTINUE? ザ・ジェッジジョンソン - 12WIRES - CONTINUE?

三夜連続、ザ・ジェッジジョンソン祭りも今宵で終了。「全曲感想」の続きをどうぞ。ホリ、ごめんね、エマちゃんのアルバムがリリースされた暁にはたっぷり差し上げるから堪忍な。

◆on the White Line
アルバムの終盤に近づけば近づくほど、シャープなビートは影を潜め、かわりに穏やかで暖かみのある音が存在感を増していく。ゆるやかなリズムに乗せて深いリヴァーヴのかかった声が響き渡って、時折姿を現すチップトーンが暗やみに光る星のように色を添える。
歌詞カードの日本語訳、「路面電車」と「環状線」という単語に眼が止まる。ああ、環七と東急世田谷線が交差する若林交差点を抜けるあたりかしら、と妙に鮮明な情景を思い描いていたら、バァフアウトのインタビューに答えてじゅにあ氏曰く「結婚する元カノを車で送っていった実体験が基になってます」と。…うわあ、生々しい。

◆20miles
静かに刻まれる細やかなリフは、寄せては返す波のあらわれか。しなやかで感情豊かなギターのフレーズが耳に残る。オクターヴ離れた二声で歌われるヴァースは老いた「あなた」と「僕」が寄り添う姿のようにも見えて。

◆百年の花
『12 WIRES』は、この曲にたどり着くための作品だったんじゃないかとさえ思わされた。それほどのスケールの大きさと、疾走感とを併せ持った名曲。オルゴールのように跳ねるフレーズにストリングスが重なり、1年前には想像もつかなかった深みのある歌声が響く。ああ、ひとの歌声はこんなにも変化するのか。それは鍛錬の成果なのか、心のありよう次第なのか。

「ぼろぼろの/お気に入りの/二枚のタオルに名前を付けて/孤独と暗やみに/眠るまで立ち向かっていた(OPUS AND MAYVERSE)」と歌っていた彼では、もうない。いや、同じなのかもしれないけれど、紡ぐ言葉の強度が増すとともに自信と確信に満ちた声になったと感じる。

じゅにあ氏の書く詞は完璧な「物語」だといつも思う。例え”on the white line”のように衝撃的なネタばらしがあったとしても、楽曲の主人公がじゅにあ氏そのものに見えることはあまりない。もっと普遍的で、断片的なストーリーの積み重ね。それを「虚構」と呼べばネガティブなイメージが先行するけれど、これはまだ見えぬ未来を強い意志で思い描いて書き記した物語だろう。そう、世界はいつだって誰かの願いで変わっていく。

◆say YEAH
ふと混信した無線のように帯域の詰ったサウンド。シンプルな言葉の羅列で、ただひたすらに誰かの肯定を乞う小品。ここまでの世界を創りあげておいて、いったい何に怯えてるの?

◆CONTINUE?
平坦に繰り返されるビートに紛れて、ビーダッシュだけでは飽き足らずファイアボールまで繰り出す有り様。そうか、マリオなのかお前ら。ジェッジって、どっちかというとロックマンのイメージなんだけどな。しかし、昨年末から使われていた開演前SEがラスト・トラックだなんて、相変わらず小憎たらしいことをしやがる。そう、パッケージされた『12WIRES』が終わったら続きはフロアで。ヘッドフォンからじゃなくて、からだ全体で繋がりに来いってことだ。へえ、上等じゃない?100円玉積み重ねて付き合ってやろうじゃない。


インタールードとして差し挟まれた4つのセグメントは、じゅにあ氏のこだわりが炸裂したシャープなエレクトロニカ。全16曲の触れ幅の広さとカラフルさに惑わされつつも、駆け抜けてみればトータル55'18"というコンパクトさ。 2ndリリースの取材に応えてさらりと「もう3rdのレコーディングに入っています」と言ってのける彼ら、次作は『リストライクス』と呼ばれる作品とのこと。かつて告知されていたものと同様ならば、Discoveries以前の旧作をリメイクした作品になるはず。さあ、押しっぱなしのビーダッシュの果てになにを繰り出してくるのか。一息つく間もなく、こっちも追いかけます!

■iTS: ザ・ジェッジジョンソン - 12WIRES ザ・ジェッジジョンソン - 12WIRES
12WIRES(初回限定生産盤)(DVD付)12WIRES(初回限定生産盤)(DVD付)
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THE JETZEJOHNSON『12 WIRES』特集第2夜。今作は4トラックのインタールードを挟みつつ「12の歌モノ」とじゅにあ氏みずから言い放つアルバムです。つい「全曲解説」と書こうとしたけれど、作り手でもインタビュイーでもないので、せいぜい既にメディアに語られた言葉を折り挟みつつの「全曲感想」にしかならないのでした。まあまあ。


◆HEADLINER OF THE YEAR
とにかく、圧倒的な情報量で畳み掛ける幕開け。細かく刻むギターのカッティング、ラテンフレイバーさめ見え隠れする複雑な上モノのリズム、左右に飛び交うシンセの旋律、単語を積み重ね撃ち放って加速していくヴォーカル。それでも軽薄な印象にならないのは、跳ね回るたくさんの音の中で途切れなくうねり続ける中沢氏のベースラインに依るところが大きい。2度目のコーラスでは重なる歌声とおなじラインをなぞるのも心地よく。で、この歌詞はウィイレと思って差し支えないか。ビーダッシュ、ビーダッシュ!

◆陽のあたる場所へ
12WIRES楽曲群の中で一番早くお披露目された、アルバム最速のBPM180を叩き出すポップソング。もはやジェッジのサウンドと不可分とも言える、ジュンのアグレッシヴなドラムが聞きどころ。この曲を聴いてると、シーケンスものが生ドラムのグルーヴにあわせてプログラムされている事がよくわかる。ブレるわけではなく、心地よく揺らぐことでぐんぐんとこちらの気持ちを引き上げる。

◆for the Right Time
転じてエレクトロ色の強い重厚で変則的なリズム。いわゆる「チップチューン」と呼ばれる、要はファミコン的な、サインカーヴまっしぐらの音色が可愛らしさのカケラもなく織り込まれているあたりに、ジェッジの偏屈さと器用さが見て取れる。ピコピコしてるけど、全然軽くもキュートでもない。

◆Vivas the RIOT
爆音で立ち上がる熱くて厚い音の壁。昨夏のロッキンで一切のエレクトロ機材を失ってなお観客を魅了した、叩き上げのロックバンドとしてのジェッジの姿が一番くっきり見えるオルタナティヴな楽曲。コーラスで叫びながら振りあがる拳、ネックを振り回しながら煽るだけ煽って、ふっと音が止むエンディングの余韻に重なる歓声が聞こえるような気さえする。

◆Pixelstorm
今作で唯一『Discoveries』全編を貫いていた世界観の一端を踏襲した、静かな熱気と世界に対する苛立ちをはらんだダンスチューン。緻密なエレクトロで組み上げられた重心の低いビートと、つぶやくようなヴォコーダボイスにひたすらからだを揺らされる。What's Goin' On?

◆Cook it
この曲は、もうなかたんのベースに尽きる。イントロの乾いたスネアと艶やかなベースラインだけでどんぶり飯3杯はいけます。というか、今作はなんだかずいぶんベース耳が行くことに気がついた。もともとかなり楽器で歌うタイプのベースライナーだけれど、低音域に埋もれていかない不思議。じゅにあ氏独特の譜割りで歌われる英語詞、よくよく聴くとホントひどい。「食うか食わざるか」って。ハチクロ女子チームの奇妙奇天烈な料理の数々を思い出したりして。

◆Pizza
ジェッジ史上最もキュートな楽曲である、という断定に異論がある方はいらっしゃるか。いや、なかろう。無邪気に弾けるちびクラッシュ、高速で裏打つハット、底抜けに明るいシンセの音色、いつもより歯切れのいいじゅにあ氏のヴォーカルが紡ぐ物語は、夕食の支度をする「君」の待つ家へと急ぐ、とある普通のしあわせな帰り道。料理がへたっぴだろうとも、たとえピザが燃え上がっちゃたって彼女がそこにいさえすれば構わない。あこがれの、おだやかな暮らし。

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後半につづく!

■iTS: ザ・ジェッジジョンソン - 12WIRES ザ・ジェッジジョンソン - 12WIRES
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メジャーデビュー作からわずか10ヶ月のリリース。『Discoveries』ツアー最終日の翌日、5/31から製作に入り、マスタリングが終了したのが12/12だという。もちろんその間にも大規模なロックフェスティバル、全国各地で開催された同時多発的ライヴサーキット、そしてこれまで彼らを育んだ下北沢に代表される小さなライヴハウスまで、全国を廻り数多くの公演をこなしながら制作された、THE JETZEJOHNSONの新作『12WIRES』は、彼らのあまりにも明白な攻めの一手だ。

『12WIRES』というタイトル通りの12曲と、セクションを分かつ4曲のインストで構成された全16トラック。一聴したイメージはとてもカラフルで、多種多様な要素が詰め込まれている。前作が「これが我々、ザ・ジェッジジョンソンです」という名乗りの如く、これまで彼らの持ち味として語られていたエレクトロ色を強く押し出した作品だった事を思うと、非常にポップで開かれた印象の強いサウンドだ。ポップでありながらも、徹底的にロックバンドたろうとするスタンスがビリビリと伝わってくる。そして、ひとつひとつの音が有機的であたたかい。

じゅにあ氏は「ジェッジジョンソンにとってロックは骨、エレクトロは神経組織のようなもの」と言う。それならばオーディエンスと相対して繰り広げられるライヴ体験は彼らの血であり肉であるのだろう。事実、この1年で彼らのライヴは大きな変化を遂げた。彼らの生み出す音の壁に圧倒されて立ち尽くすばかりだったオーディエンスは、重厚なビートに弾かれるようにステップを踏み、ステージから煽られるがままに拳を突き上げる。そんなフロアの熱気は上昇気流となってステージに戻っていく。ROJの古川氏が彼らに冠した「ワイヤード・ロック」というカテゴライズの通り、生身の身体と機械、そして人と人が結びついていくようなライヴを見せるようになってきた。

「踊りたいヤツは前へ、そうでないヤツは後ろへ!」なんてMCに苛立ちをにじませていた時期もあったけれど、もはやそんな必要はない。組木細工のように綿密に計算されたプログラミングと、予測不可能なオーディエンスの熱気。そしてすべてを叩きのめすような、圧倒的な音の存在感。全てがぶつかりあって熱を帯びるフロアに応えるように、思い切りライヴ感に溢れた作品が届けられた。静と動を軽やかに行き来しながら叩き出されるビートを浴びて、突っ立っていられる人なんていないはず。さあ、一緒にフロアで踊ろう。空に突き上げた腕でなにかをつかもう。明日を望む人の上には、陽の光はいつも訪れるから!

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ホリの“Dark Was The Night”特集に引き続き、2/18リリースのTHE JETZEJOHNSON『12WIRES』特集を三夜連続でお届けします。気分は1980年代のロッキング・オン名物「架空インタビュー」で。どうぞ、お付き合いください。

■iTS: ザ・ジェッジジョンソン - 12WIRES ザ・ジェッジジョンソン - 12WIRES
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