ご無沙汰しております、という書き出しも何度目でしょうか。あおきです。忙しさにかまけて更新の手が止まり、紹介したい新譜もずいぶん貯めてしまったと思いはじめた頃に、東日本大震災がわたくしたちの生活をがらりと変えてしまいました。

あの日以降、楽しみにしていた公演の中止や延期(PaperbagLunchboxもOcean Color Sceneも!)が相次ぎ、CDのリリースは滞りました。数々のチャリティイベントやチャリティソングが鳴る一方で、エンターテインメント業界のあちこちからは悲鳴が聞こえてきています。

「ふくしまのために歌いたいんだ。いいだろ?」

あの日以来ことあるごとに「くちびるに歌を」と言い続けていたけれど、正直音楽を聴く気分になれない時期も長かったし、無理やり気分を盛り立てるように鳴らした音もあった。北海道原産、福島県育ちのわたくしはこの曲を聴いて、この三週間で一番ためらいなく泣いて、ようやく音楽に対する気持ちがリセット出来たような気がしています。増子兄ィが、こころもち「ふぐずまにぃ〜」ってなまってるのがもうたまんない。

こころなぐさめる曲を無料で公開したひとも、義援金のために販売したひとも、たくさんのひとを集めて歌うことで募金を募るひとも、いつも通りが一番の勇気だ!と演るひとも、矢も盾もたまらずボランティアの現場に飛び込むひとも。どうぞこれからもすてきな音楽を鳴らし続けてくださいますよう。待ってます。

■ototoy:猪苗代湖ズに怒髪天が届けに来ました。


http://thekingoflimbs.jp/index.php


いやー、びっくり。何がびっくりって、自分のあまりの驚かなさっぷりに。

いや、驚いてはいるんだけれどさ、実際。そりゃあ、レディオヘッドのニューアルバムですもの。

っていうか、「イン・レインボウズ」のリリースからもう3年以上経っているっていうのに驚きか、むしろ。

この3年間の間に、インターネット先行/限定で音源を発表するアーティストはもの凄く増えたし、フリーで聴ける音楽の数は、リーガルなものだけでも相当増えた実感がある。熱心なファンの為にリミテッドのヴァイナルがリリースされることも一般的になったし(というか、フィジカルなパッケージ自体があまり在庫を作らないというか、売り切りのような数しか作られていない様な実感すらある)、ASHのAtoZのように、配信での曲単位のみでの販売が評価を得て、CDアルバムの発売に至るというような過程も見て来た。それにHMVの店舗縮小のように、そもそもショップ自体が身近でなくなる、、、なんていうあんまり嬉しくない出来事だって体験している。うん、この3年間、音楽を聴くという体験には、「いろいろあった」。だから、極力リークを抑えるべく、発売の直前にネットで発表されることにも、配信先行でリリースされることにも、オフィシャルサイトから直接予約をしないと買えないスペシャル・エディションにも、さほど驚きは感じなかった。勿論、2度目と言うこともあるのだろうけれど、日本語のページも用意された特設サイトの購入手続きはとてもシンプルかつスムーズだし、購入するリスナーとしても、「レディオヘッドの新作をウェブで予約する」という行為を当然のこととして受け止めているのかな、なんて思いながらあっさり予約完了。土曜日にはダウンロードが開始。うーん、改めて、凄い時代になったもんだ。

Happy New Year, May the Music Be With You!!


というわけで本年最初は、昨日まつきくんの音楽の引き合いに出した、中村一義くんの話題を。
遂にといった感じの、中村一義ソロ名義/100s通じてのオールタイム・ベスト盤。そして、今まで全てのアルバムを網羅したボックスセットの発売。そしてそして、「魂の本〜中村全録」と題された、バイオグラフィ本までもがリリース。出所は「コンティニュー」の太田出版とくればもうこれは間違いない。


特設サイト
http://avexnet.or.jp/nakamurakazuyoshi/


まつきくんと一枚目、二枚目の頃の中村くん(どちらもついつい”くん”呼ばわりしてしまうのです、すみません)を何となく重ねてしまうのは、宅録、ビートルズという分かりやすいキーワードがまず大きいのだけれど。それと、自室でひとりで作られた音楽が、リスナーという他者との出会いによって劇的な広がりを生むところ。改めて、「生きている」の歌詞から、もうひとつ。感動的なアウトロ直前の、最後のフレーズ。

「みんなを待つ誰かや、みんなを待つ誰かも、出会えるといいな。列車は走るんだ。」

マット・シャープ率いるthe rentalsの大名曲"Waiting"を彷彿とさせる、誰もが泪するであろうメロディを待ち人になぞらえた、号泣もののフレーズ。っていうか、書きながら泣いてる、俺。

去年一年の中村君の活動は、変則的かつ静かなものだった。kika-gakuと題されたウェブサイトによるウェブマガジン、育ての親であり人生の大いなる道標だった祖父祖母、そして妻早苗さんとの対談集の発行といった、自分のルーツを辿り、総括するような歩みだったとも言える。そしてこのベスト盤も、それに準ずる流れに思える。その先があるのかどうなのか今のところなんのアナウンスもないけれど、いずれにせよ、ベックでありジョン・レノンであり、スティービー・ワンダーでもあり赤塚不二夫でもある彼の歩みを振り返ることを、僕は避ける事ができない。

まずは、今年のはじめに、僕が『一億年レコード』について書いた感想を再掲します。


§
スタイルとしての魅力以上に、これも当たり前なんだけれど作品としての質も素晴らしい。フィジカルでいうところのダブル・アルバム、「地球編」と「宇宙編」合わせて26曲、合計2時間以上というボリューム、まるでベックがビートルズのリミックス・アルバム「LOVE」を更にリメイクしたような、濃密さとカジュアルさが共存する不思議な感覚。希望も不安も、過去も未来も現在も全部ある音楽。そう、僕はゼロ年代に(それはとても多感な20代だった)沢山の音楽を聴いて来たはずなのに、恥ずかしながらその最初に買ったアルバムが誰の何だったか思い出すことができない。でも、来る10年代に最初に買ったアルバムは、きっと10年先でもはっきりと思い出すことが出来るはず。2010年最初に買ったアルバムは、まつきあゆむの「一億年レコード」だったと。


まさかまつきではじまり、あゆむで終わる年になるとは、この時は全く思っていなかった。
そう、今年のはじめにいきなり2枚組のボリュームで、流通も宣伝も飛び越して、僕のハードディスクにダイレクトで飛び込んで来たまつきあゆむくんが、今年の終わりに再び、大作を届けてくれた。

前作「1億年レコード」を制作していた時と今作「あなたの人生の物語」とで、まつきくんの宅録中心の作曲スタイル、そしてtwitterやtumblrなどによるインターネット・コミュニケーションにインスパイアされた言葉使いに、さほど大きな違いはない。ただ、twitterにおけるフォロー/フォロワー数の爆発的な増加、いわゆるメジャーの舞台で活躍するミュージシャンからのピュアな羨望と賞賛等ー もちろん「1億年レコード」の音楽、そして活動姿勢を評価してのものだー この一年を通じて彼がマイペースながら着実と積み上げて来た経験値が、じんわりと、しかし確実に感じとれる。ライナーノーツとしてzipファイルに収められている、twitterのハッシュタグ#anatanojinseiで集められた呟きをもとにつくられたpdfが象徴的だ。


まつきくんの音楽を聴いていると、何故か中村一義くんの「生きている」の一節を思い出す。

「音が旅に出て、君と会って、歌になって。うん!生きている。僕はそう思う。」


もう、パーフェクトだよね。clap your hands say yeah!やらradioheadやらASHやら、ジャンルも国境も規模様々ながら、インターネットと音楽の幸福な繋がりを見せてくれたミュージシャンを沢山見て来た。2011年、日本には、まつきあゆむがいる。


まつきあゆむウェブサイト
http://matsukiayumu.com/

ミュージックサルベージ by matsukiayumu

ASH's AtoZの余波、じわじわと(たぶんね)。

RollingStoneの記事によれば、フレイミング・リップスが来年の1月から、毎月1曲録って出しリリースを始めるそう。「2,3年かけてアルバム作って、それを持ってまた2,3年ツアーに出るなんて飽きちゃった」とかウェインの談。レコード+ダウンロードで手元に届くことになるのかな。流石に「AtoZ」なんて無茶なコンセプトを掲げないあたり、オトナだわ(ほめてます)。さ、1年後またドラフト会議でもやりますか。

つうか、Soft Bulletin再現ライヴなんてやるのか、この年越しに!“The world’s biggest balloon drop, the world’s largest mirror ball and big, dangerous laser beams.” て。ちょう楽しそう。


OK GOがまた面白いことやってる!

たくさんの楽器を抱えた100人からの大所帯で街をパレード、その道程は上空20,000mにあるナブスター衛星に捕捉され、地図に彼らの名前を刻む…。そう、GPSを携えて動き回ることで、地図上に大きな地上絵を描いてみせたわけ。ひとつひとつの楽器には電飾がほどこされ、日が落ちてからのパレードはさながらエレクトリカルパレードのよう。ちょうすてき!




この映像は、Range Roverキャンペーン"Pulse of the City"のひとつとして製作されたもの。さまざまな人が、ログを取りながら世界の都市を移動していて、それが地図上に展開されている。iPhone/Androidアプリをインストールすれば、個人で参加することも出来るよう。ぶらぶらと散歩をしたり、どこかへ出かけるログが多い中、カクカクとロスの街区に描かれる「OK GO」の文字が燦然と光る。出くわしたかったなあ、これ。

■Range Rover: Pulse of the City

学生運動でリアル・ロンドン・イズ・バーニング状態なイギリスでございますが、こちらも燃えてます。

クリスマス・シーズンのシングル・チャート首位がTVのオーディション番組"X-factor"の勝者のものになってしまうのにつまらなさを感じたリスナーがRage Against The Machineの"Killing in the Name"を首位にしようぜ!とネットを通じたキャンペーンを展開、見事勝利を納めた09年末から丁度一年。今年はどう出るイギリス人?と思ったら、流石モンティ・パイソンを生んだ国。想像の斜め上をいってます。



http://www.catm.co.uk/


ケイジ・アゲインスト・ザ・マシーン! ダジャレかよ!
そう、前衛音楽の象徴、ジョン・ケージの「4:33秒」をシングルチャートの一位にしようというのです。
レコーディングにはザ・クークスやオービタル等日本でも名の知られたミュージシャンが参加。でも勿論、楽器を鳴らすでも歌うでも無し。
つい最近、トム・ヨーク等が参加したチャリティ・シングルで"2minute silence"という、文字通り2分間無音のMp3ファイルが販売されたばかりですが、こちらも一応各種チャリティ団体に売り上げは寄付される様子。

レコーディング風景。いや、お前等、その楽器、弾かないだろ。


もっともらしいメイキング・ビデオ。


そしてリミックスも多数手がけられています。地下鉄の音をフィールド・レコーディングする者、テレビ番組をミュートで見ている様子を録音する者、5分33秒のエクステンド・ミックスに挑む者。。。みんなアホだ。

http://soundcloud.com/remixagainstthemachine


既に10日から、各種デジタルストアにて販売が開始されているようです。ケージの勝利なるか?

We wanna be free, and we wanna get Loaded!


気がつけば20年。プライマルスクリーム91年の名盤「Screamadelica」も来年で20周年を迎えるという。ニルヴァーナの「Nevermind」でアメリカからグランジが大爆発したのと同じ年に、この、ジャンルをひと言では括れない名盤がイギリスでは生まれていたと思うと、凄い年ですわね、改めて。

で、ここぞとばかりに来年リマスターアルバムが出る(バイ、ケヴィン・シールズ!)ようですが、それに先駆けて今夜ロンドンにて、バンドは「Screamadelica」の全曲再現ライブを敢行!チケットは当然のように瞬殺したようですが、そもそもロンドンに行けない我々のような世界中のファンの為にか、BBC6にてライヴ中継をやってくれるそうです!
ライヴ開始はロンドンで 19:00 21:00スタートということなので、日本では、27日の早朝6:00頃に聴けるのでしょうか。寝起き抜けに"Movin' on Up"。。。


http://www.bbc.co.uk/6music/



そしてライブを祝して、プロデューサーの一人Andrew Weatherallがアルバム制作を振り返りつつ、影響を与えた曲をかけるプログラムと、クリエイションの創始者Alan MCgeeによる懐古録がオンエア。どちらもまだまだ視聴可能。

6 Mix: Andrew Weatherall on Screamadelica

Alan MCgee: The First TIme With...

エマちゃんことEmmy The Greatから、セカンド・アルバムのお知らせが。しかも、ちょっと今までとは違う形で。

http://www.pledgemusic.com/projects/emmythegreat



今回彼女が手を組んだのは、Pledge Musicというウェブサイト。ここを通じてアルバムを購入する事で、アーティストは直接リスナーから制作費を受け取る形となり、またアーティストの意向で売り上げの一部をチャリティー活動にも寄付できるとか。我々消費者としても、サイン入りのCDなどスペシャルな一枚を購入できるという、嬉しい形。『エミーとバンドが、あなたが好きだろうと考える幾つかのイギリスのもの』が入ったスペシャル・ボックスとか、生録りのカセット・テープとか、つい欲しくなっちゃう。それに、製作中のデモ音源や映像を、無料で観る事も。早速DLしましたが、相変わらずいいです。

サイトにはエマちゃんからのメッセージが掲載されているのですが、日本語訳も掲載されています。違法DLの問題も含めた、音楽をリリースする形についての考え方がスマートに語られています。大好きなASHがやっているAtoZシリーズのやり方なんかも、当然刺激になっているのかな。

既に幾つかの"done"売り切れアイテムもあるし、売り上げの目標は100%を越えているみたいだけれど、スペシャルな一枚が欲しいと言う方は、是非。paypalのアカウントを持っていれば、一番てっとり早いかな。サイン入りCDでも2000円しないです。



てんてん寺からこんこん小僧がかんかん駆け出した♪

「次の動きは7/6!」と予告されていた小沢健二「ひふみよ」サイトですが、ふたを開けてみたら過日ツアーで披露された新曲「シッカショ節」の、radiohead/In Rainbowsと同じお値段おまかせ投げ銭方式リリースでした。この発表に先駆けて公開したイワホリとのクロストークで、ツアーの感想にからめてradioheadの話をしていたのは偶然ではあるまい(偶然です)。

タイトル通り、どろくさささえ覚えるような日本古来のリズムと言葉あそび。今年のお盆にどこぞの町内会で踊られていたってまったく不思議はないくらい。サイトに「踊りを考える」ってコーナーがあるのもなんだかうれしい。

渋谷追加公演で聴いたときに、曲終わりのMCで「みんなちゃんと1・3で手拍子するね」って笑いながら言っていたのがとても印象的。日常的にはぜんぜん聴かなくなってしまったリズムなのに、からだが勝手に「ぱぱんが、かん」って刻むのよね。拍をからだを前後に揺らして取るのも。これが鍬を振るって日々を暮らしていた農耕民族の血ってヤツですか。面白い。

- ひふみよ.net:シッカショ節ダウンロード


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