キャリアの長いバンドのライヴに出かけて「あの曲やらなかった、これもそれも」なんていうのはあんまりカッコいいことじゃない。でも、多くの場合それは「自分の思い入れ深い古い楽曲がすでに新しい曲に置き換えられている」状態を示すのだけど。まさか逆のパターンでもんやりとするとは思わなかった。ASH、来日公演の二日目である恵比寿LIQUID ROOMに行ってまいりました。

「もんやりした」と言いつつ、ライヴそのものはほんとうにエネルギッシュで素晴らしいステージだった。直前になってサポート・ギタリストのラッたん(カワイコちゃん枠)が体調不良によりキャンセルというショックな出来事もあったけれど、もみくちゃにされて拳振り上げて、アニキたちにおもいっきり遊んでもらったような充実感でいっぱい。

最終的には運良くティム前3列目にまで滑り込んで、前方にいるのがすべて身長150cm台の女子だったので、彼のギターのバカテクっぷりを満喫できたのもまた嬉しい。珍しくフライングVじゃなかった。白いSGとゴールド(ゴールド!)のセミアコ。いろいろ細部を思い出すに、True Love1980で照明がずっとピンクだったのがいちばん記憶に鮮やかだ。ティムの目って照明越しに見ると綺麗な緑色なのなー、とじっと顔見てたらサビんとこで目があって微笑まれた!(とか言わせて、今夜くらいは)

つまりはAtoZを聴きまくっていたこの週末で「あれも聴きたいこの曲もやってほしいなリリースされたばっかりなんだから!」という思いが高まりすぎただけなんです、個人的に。だってあんなええカッコしいのフィナーレを飾った曲は聴きたいじゃない。つま弾くリフが4小節で爆発するような曲も聴きたいじゃない。前回ツアーであれほど盛り上がった"I Stared A Fire"だって聴きたかった!(わがままをこじらせています)

「アンセムばっかりやりやがって…」と毒づくふりをしつつやっぱりとても嬉しい曲達。何百、いや千を越えるだろう回数演奏しているはずの "Girl From Mars" や "Burn Baby Burn" のイントロを、どうして彼らはあんなに得意げな顔して奏でて、そしてそれがあんなに瑞々しく響くのか考えてみたりもする。きっと彼らにとっては、できたてほやほやの楽曲も、長くオーディエンスに愛されてきた曲もぜんぶ並列に愛おしいんだろう。手元にある「1997」に収録された "Girl From Mars" を聴いて、その声の幼さにニヤリとしながらそんな事を思った次第。

いまいちばんの心配は、明日の朝ベッドから起き上がれるかという一点のみ。どうも我を忘れてしまっていかん…。
Arcadia / Girl From Mars / Embers / A Life Less Ordinary / Goldfinger / A True Love 1980 / Walking Barefoot / Shining Light / Sky Burial / Oh Yeah / Kung Fu / Carnal Love / Orpheus / Return of White Rabbit
encore: Lose Control / Unlce Pat / Kamakura / Burn Baby Burn

追伸:
実はAtoZの楽曲を演るたびに、先般のAtoZドラフト会議のこと思い出してニヤニヤしてた。ASHへの思いの丈を満載したこちらもあわせてどうぞ。
ICHIBAN-BABY-BURN http://www.exhivision.net/ASH

(連載企画の途中ですが、どうにも黙ってられないんでライヴレポート!)



夢みたいに 夢みたいに 過ぎる時の中
あなたにだけ あなたにだけ 何度も恋をする

夜明け前のボヘミアンステージで「このツアーが終わるまで2010年の夏は終わらないからな!」ってコヤマシュウと約束したのに、なんだか世の中は木枯らしが吹いたとか冬のにおいがしたとか言ってるので、ちょっと活入れてもらってきました。夏を終わらせんなよ!

週のまんなかにも関わらず、なかなかの人出。みんな好き勝手に踊りたいので前方に向かってぎゅう詰めにならないのも彼らのファンらしくていいじゃない。そして、ひとたび白いスーツに身を包んだコヤマシュウがステージにあがれば、みんなみんな彼に恋をする。煽られるまま声を上げて、リズムに体を揺らして、思いっきり音におぼれる。

「世の中いいことばっかりじゃない、でも悪いことばっかりじゃない。今日ここにいるおまえらは、つまんないことをふっとばす音楽の力を知ってるんだろ?だからここに来たんだろ?最高だぜエビバデ!」

…たまんねえなあ。卒業式の金八先生かと見まごう流暢さ。でも、それより100倍饒舌なのが彼らの叩き出すサウンドなわけで。気持ちのこもった音がふたつ鳴ればそれはもうビートで、誰かのための音階がふたつあればそれはもうメロディなんだって事を実感する。音楽ってほんとうにシンプルで、誰かと分かち合いたい気持ちがライヴのすべて。それ以外にはない。今日も今日とてすっかり骨抜きにされてしまったや。

胸をときめかす夏と恋のナンバー、そしてアツい男たちをぎっしり詰め込んで走るバンドワゴンこと、Tour Funk-a-lismo vol.6はここから後半戦。お近くの街にヤツらがきたらぜひお運びください。心がはりさける前に あなたに会いに行くんだぜ!




ワタクシの今年度ベストブッキング、NANO-MUGEN FESTIVALで見て、今度はバンドセットで見たい!なんて言ってたら、来日ラッシュも終わったこの時期にあっさり全国ツアー決定。しかも初日は横浜サムズアップなんて!職場からの最寄り駅より近い、という最高のロケーションに喜び勇んでいってきました。。

あんな超弩級パワーポップバンドが、ライヴバーのサムズアップって正直合わないんじゃないかと思ってたけど、これはこれで楽しかった。つまみながら、飲みながら、適当にヤジりつつ盛り上がるような雰囲気。フロアを半分に分けてハモってみたり、ハンドクラップあおったり、適当な日本語でしゃべってみたり、ほんとうにハッピーな空間でした。

それにしても、いわゆるパワーポップって呼ばれるジャンルのバンドはどうしてあんなにキャッチーなメロディを次から次へと繰り出せるのか。はっきり言って歌も演奏もそんなに巧いわけじゃないのだけど、とにかく一瞬で頬が緩むような、ポップでキュートなメロディにやられる。歌詞だって聴いてすぐ意味が分かるわけじゃないのにね。音楽ってものはかくも不思議なものであります。なんなんだろ、ホント。

ヴォーカルのジェズとベースのミシェルが、うっとり見つめ合いながら間奏弾いてるのになんかこそばゆい思いをしたり(コトの真偽は知らない)、ギターのアンディがギター持ちながら鍵盤弾いてAメロだけマラカス振って間奏の間にMacのセッティングいじるという多彩ぶりを発揮してるのにキュンとしたりした。ドラムのマイクはASHのリックに似てる。おもに頭部のフォルムが。

しかし、アンコールまでNo Reason Whyを取っておくの、ちょっとズルい!今度はスタンディングの会場で踊りまくりたい、と欲は深まるばかりです。そうそう、アジカンのごっちがゲストで一曲ギターで参加して盛り上がってた。しかしそのセッション、なんか「ちょっと面白いからいっしょにやっちゃわない?」って雰囲気がありありとしてて笑えた。いちばん楽しいのやってる当人たちだよなー。

終演後あまりに浮かれていたので、珍しくサインをねだる。マイク&アンディのめがね男子おふたりに「あなたがたに会いたかったのです!」って言えたのがなにより。握手もしてもらって、ほくほくと帰路についたのでした。ぽわーん。

彼らの作品のなかでいっちばん好きな曲のビデオを。ネクタイ!オフィス!


ラララ、きっと僕ら、踊り暮れる夜の闇に飲まれて。

3/7(sat)、サカナクションワンマンツアー “SAKANAQUARIUM 2009” は全公演ソールドアウト! 新装相成ってから初めて訪れた赤坂BLITZで鳴らされた音は、さながら大きな深海魚が口を開いて泳ぐように、がっぷりとわたくしたちを飲み込んだのでした。

サカナは音源そのものの完成度がとても高いのだけれど、ライヴで見せる表情はまたひとあじ違う。各々に異なるルーツを持った(ただひとつ共通するのは、いわゆる「J-ROCK/POP」と括られるメインストリームの音楽を好んで来なかった、ということらしい)メンバーが、それぞれの持ち味をゴリゴリと前面に押し出してくる。曲間を繋ぐアレンジはそれこそ卓越したDJMIXのようにシームレスで、四つ打ちのビートは決して止まることがない。ブレイクの一瞬、全ての音が止み残響音だけになる瞬間なんて、まさにDJプレイの常套手段だし。ライヴという空間で、それを寸分の狂いもなくこなす様にプレイヤーとしての技量の高さをも見せつけられる。“minnnanouta”のようなインストナンバーを、各人のソロプレイを折り挟みつつも、飽きさせず踊らせるっていうのもそうだしね。Da Funk festとかObllivion Boulのことを思い出したし、もっとダンスミュージック礼讃なフェスに出たら面白いだろうなあ。いわゆる「ロックキッズ」な首にタオルを巻いたタテノリのワカモノと、クラブ慣れしたオトナが同じ音に身体を揺らせているのも不思議な雰囲気。

その一方で、山口くんの持つ叙情的なことばとうたに深く沈むのも心地よい。出自でひとの感性がすべて確定するとは思わないけれど、冷ややかだけれど内面に熱のこもったような彼の詩にはやっぱり北海道という土地が影響していると思う。問答無用で白に埋め尽くされる、あの冬の空気感。

アンコール前のMCで「J-ROCKとか言われるエンタテイメントな音楽にもいいところはあるし、自分たちがずっと聴いて来たアンダーグラウンドな音楽をもっと知ってほしいとも思うから。サカナクションはその両者の間をうなぎのようにぬるっと繋いでいきたいと思ってるんで、これからもよろしく!」と言った。まさにいま「J-ROCK界に新星あらわる!」とブレイクしつつある彼らが、2000人の観客の前でそれを宣言したことにちょっと驚いて、そして嬉しくなった。若いくせに老成してて、落ち着いていて、それでいて青臭いことも平気で言ってのける。どうかこのまま、信念をゆらがせずにどんどんいろんなものを飲み込んで大きくなっていけばいい。楽しみです。


Ame(B) / ライトダンス / インナーワールド / サンプル / minnanouta
ナイトフィッシングイズグッド / 黄色い車 / 白波トップウォーター / あめふら / enough / 涙ディライト
フクロウ / 夜の東側 / ネイティブダンサー / セントレイ / アドベンチャー
human
en01.三日月サンセット
en02.アムスフィッシュ


余談:今回のBLITZ、チケット代がなんと2800円でした。照明の演出にも非常にこだわっているのにこの値段ってすごい。来週の某DAは5500円なのに(他意はない)。『シンシロ』もフルアルバムながら2100円だしね。「CD売れない、ワカモノは音楽に対価を払わない」ってしたり顔で言うのは簡単だけれど、じゃあどうするよ?と考えて策を講じた制固い意志と度胸の良さも賞賛したい。



半年ぶりのGomes The Hitman山田ソロ/夜の科学は恵比寿天窓Switchにて。オンガクの神様ってのは、音に乗せて語るべき言葉とそれを奏でる声を対にして与えてるんだ、としみじみ思った二時間半でした。

山田氏の声はわりとクセがなくて、歌いかたのスタイルも含めてとても朴訥とした印象を受けるのだけど、その声がかえって丁寧に言葉を積み上げて描写される世界観を膨らませるのです。アコギ一本ときおりwith Macというごくシンプルな編成だと、より一層映える(とはいえここ5年近くフルバンド編成の山田氏を見てないかもしれない…)。

現在製作中のアルバムは「家路」をテーマに温かな手触りのものと、「旅路」がテーマのえらくポップなものの二枚になるそうですが、今回は「旅路」アルバムの曲を柱にしたセットリスト、全20曲。途中で『"down the river to the sea"10周年祭』と称して当時の曲がいくつか折挟まれたのには、リアルタイマーとして腰が抜けた。あっという間に17,8の自分がフラッシュバックして思い出迷子。泣ける。

そんな風に10年の月日をまたいだ選曲だったのだけど、新曲の中でまさに「川を下り海を目指す」というような歌詞があったり、いくつかの曲で「五番目の季節」なんてフレーズが使われていたり、言葉は違えど、先を目指す意思だとか確実な足取りが見える想いだとかが見え隠れしていて、ひとつの大きな物語を聴いているようでもありました。

映像とのシンクロ具合も素敵でした。レイ・チャールズのHit The Road Jackに乗せて、ネクタイを締めジャケットを羽織りわたわたと支度をする映像、そのままの格好で袖から出てくるなんてニクいじゃないか。その後も全編を通して、VJではなく歌の世界をぐっと押し上げるような映像が使われていました。ラストの"ユートピア"で、スクリーンに映し出された月のほかに、ミラーボールの影でもうひとつの月が見えていた事に気付いたひとはどれくらいいただろうな。

"夜の科学"は90席ばかりのとてもちいさく親密なイベントで居心地はいいけど、いつもチケットが秒殺されて、どうも閉じたかんじでちょっと惜しかったのですが来年は完成したアルバムを手に、大きめのライヴだったり全国を回ったりするそう。よくよく話を聞くと「わー、ゴメス!」っていう人が結構まわりにもいることが判明してきたので(笑)、どうぞご期待を。たのしみだ。
blue moon skyline / 街をゆく/ 雨に負け風に負け / 北風オーケストラ / クレメンタイン / ONE / 三日月のフープ / 夏の日の幻 / believe in magic in summertime? / 平和なるサバービア / 真夏のスキャット / 溶けて死ぬのさ / pilgrim / SING A SONG / ユートピア
encore: サテライト / クリスマスイブ(山下達郎)/ 拍手手拍子
encore2: sweet december / Jingle Bells

つまんない蛇足をつけたすなら、山田氏の曲はそれを聴いていたころの「君」とか、「ぼくたち」の「たち」にあてはまる人の事をたくさん思い出させる。「一緒に聴いた思い出の曲」ってわけでもないのに(多分聴いてさえいない)。それが10年分積まれると、まあ、なかなか思い深くもあるわけです。ははは。

■ myspace: 山田稔明(GOMES THE HITMAN)
 写真とセットリストはmonoblogから拝借。

おとこもつらいけど、おんなもつらいのよ。

昨年に引き続き、12月第2週恒例のさとがえるコンサートに行ってきました。去年はyanokami+ピアノアキコ という二部構成だったけれど、今回は4年ぶりのオリジナルアルバムを引っさげてしっとりとジャジーなバンド編成で。サウンドタイプだけでいえばまったく別のバンドみたいだけれど、彼女がそこにいて歌うだけで、ピアノと戯れるだけで、やっぱりあっこちゃんワールドなのだった。彼女はいったいどんな風に音を捕まえて形にするのだろう。まるで息をするくらいあたりまえに、ピアノとじゃれて声を出す。さりげなさと自然体でできあがった、穏やかで心地のよい二時間でした。

あっこちゃんがステージ上で「ラーメンたべたい」とひとこと歌うだけで、その日の夕ごはんはもう確定するのですが、今回もご多分に漏れず。ピヤノアキコではなく、バンド編成のぐっとブルージーで、おとなびた印象のラーメンでした。背脂とかないかんじ。

帰りに唐そばでとんこつラーメンをすすりながら「あの歌ってさ、何ラーメンだと思う?」と話し始めたら、隣の席のおねーさんもライヴ帰りで、すっかり意気投合。「あたしは、とんこつだと思うんです。九州育ちなもんで」と。ああ、にんにくがかかせないんならとんこつかもねえ。個人的には澄んだ鶏ガラの醤油だと思ってるんだけど、どうでしょうか。ご意見募集。

94年のライヴ映像。今の方が若く見える(!)

Right now, Right now, What are you going?
At last, At last, Kiss me again.


結局のところ、青い春の時代に恋に落ちた人を忘れられるはずがないんだ。

AIRの三ヶ月連続リキッドルーム公演、最終日に行ってきました。SPIRAL LIFEのトリビュートイベントを主催しておきながら、1999年あたりから後のAIRに関しては割とクールな立ち位置をキープしていた我々ですが。猫の目のようにくるくると変わる彼の音楽性を、なかば嘆息まじりに「レイジからさだまさしまで」なあんて表現した事があったけど、今回のセットはまさにそんな感じでした。優しくて穏やかな近作をメインにした序盤、徐々に助走をつけるようにヒートアップする中盤、そしてシャツを脱ぎキャップを被った瞬間から(わかりやすすぎる)怒濤のラウドチューンを連発した終盤に完敗。

「あの曲を懐かしがるためにライヴに行く」ってのはあんまり好きではないのだけど、猛烈な渇望を抱えて彼の音楽を聴いていた16の自分にはかないませんでした。24 Years Oldの、あのイントロのベース1音で頭が真っ白になった。そして、どこから湧いてきたのかと思う勢いで(というか、さっきまで子守唄のようなやさしい声にユラユラリとしていたはずなのに!)モッシュピットが形成され、数多くのオーディエンスが華々しいダイヴをキメておりました。なんだ、やっぱりみんなこういう車谷も好きなのね。安心した。

全国をぐるっとめぐるツアーもまだ進行中、年明けにはネット配信で新曲のリリースが予定されています。そうそう、MCで「THE WHOを見に行った時にまわりにいた年配の人が大騒ぎしてたのを見て、自分の音楽もそれくらいずっと愛されたい、と思った」なんて言ってた。そうだよね、これからもずっと細く長くおつきあいできたらいい。素敵なキスのごとしお誘いをくれたX氏に感謝を。

Holy Sorry / Have Fun / Last Dance / Let Me Know, Let You Know / Smile, Smile, Smile / Pa Pa Du Du / Freedom March / Janaica / The New Day Rising / Walk This Way / Kaze(ninoru) / Your song / Walk Alone / Starlet / Our Song / Hi Shi Dou Dou / 24 Years Old / Kiss Me Again / Surfriders / 6453 / Everything,or Everyone And Everything,or Peace
encore: Only Just / Microcosm / Nayuta

iTS: AIR / Kiss Me Again AIR - MY LIFE AS AIR - KISS ME AGAIN
iTS: AIR / 24 Years OldAIR - AIR - EP - 24 YEARS OLD



thee vicarsからしたら、彼らは音楽的にも世代的にも完璧に「おじいちゃん」なのよね。それでも、極東の地で書かれているちょっとした音楽ブログでは、まったく同じように並べてエントリされてるだなんてちょっとステキじゃない? 結成から43年(!)を経ての初単独来日だったわけですが、ツアー2本目の横浜アリーナに行ってまいりました。

一言でいうと「ジジイ、すげえ!」に尽きる。ロジャーは思っていたよりずっとキュートで愛くるしいジジイだったし、ピートはあのおおぶりなルックスも含めてまさに奇人、、、もとい鬼神とでも呼びたいくらい。確かに年は取ってた(当たり前だ)けれど、老いに甘んじるでもなく無理に若ぶるでもなく。とても素晴らしい時間でした。しかし、1曲目、I Can't Exptainって反則だ!

ま、会場を埋め尽くした(元)ロックキッズのみなさまを差し置いて、せいぜいQuadropheniaまでしかきちんと聴いていない若輩者に2時間のセットを語るなぞできないのですが、とにかくピートのギターは想像の斜め上を行くシロモノでした。彼がギターと相対する姿は、なんだか闘いのようで。叩きつけるようなカッティングとか、ネックをしならせるようなコード運びとか。ものすごく研ぎ澄まされて、緊張感がありました。My Generationに入る前のながいながい即興部分とか、最高でした。まあ、あんなに腕を回しっぱなしだとは思わなかったけど(キメの大技かと思ってた!)。あんなにぶんぶん回してるのに、キレがあるんだよねー。非常に小気味よい。

全編通してずうっと気になってたのは、やっぱりロジャーのマイクね。なんであんだけぶんなげて断線しないんだ? 終演後に「実はワイヤレスじゃねえの?」って案が提出されましたが、それって割とナイスアイデアかもしれん。真実は如何に。
Can't Explain / The Seeker / Anyway Anyhow Anywhere / Fragments / Who Are You / Behind Blue Eyes / Relay / Sister Disco / Baba O'Riley / Eminence Front / 5:15 / Love Reign O'er Me / My Generation / Won't Get Fooled Again

Encore: Pinball Wizard / Amazing Journey / Sparks / See Me, Feel Me
Encore2: Tea and Teatre(acorstic)

■アンコールラストを飾ったSee Me, Feel Meを2004年公演から。

英国国営放送BBCのいいところは、なんと言っても、この極東の地でも、ストリーミングで本国と同じオンエアを聴くことができるところ。海賊ラジオが昔から有名な国とはいえ、公共の電波もさすがなものです。

で、僕が平日の夜楽しみにしているのが、レディオ1の看板DJ、ジーン・ロウのプログラム。今週のオンエアでは、キラーズの最新ライブと、ライブのオープニングに彼自身が務めたオープニングDJを、ほぼフル尺でOAというエクスクルーシヴっぷり。


http://www.bbc.co.uk/radio1/presents/killers/

キラーズのライブはもちろんなんですが、ここで注目したいのはジーンのDJプレイっぷり。いわゆるラジオのディスク・ジョッキーって喋りがメインで、曲をミックスしたり繋いだりってのとは別だなっていう印象があったのですが(レゲエでいうディージェイと、セレクタの違いですね)、この人はとにかく喋るし、そして繋ぎまくる!どっちも同時にハイレベルでこなす人って、新鮮だわー。冒頭の、ロック・クラシックのギターリフをぶっこみまくる様はまるで2メニーズみたいだし、キラーズの客層を考慮してか、ジャスティスやらアークティックやら、シンガロングできるナンバーを要所要所に持っていったり、そしてもちろん自分で間の手を入れてと、場を暖めると言うにはあまりある、文句なしの上げっぷり。
ラストのブラー/ソング2まで(っていうか、その前のエルヴィスの観客の歌いっぷりも凄かった)、相当楽しみました。

抱腹絶倒のセットリストは下に。ちなみに上記リンクのOA、ジーンのDJは1時間22分頃からでーす。



先日Strings of Lifeをストリングスでカヴァー!という記事を書きましたが、勢いに乗って行ってきましたよ、スタジオライヴ。うーん、すごいものをみた。

代田橋から徒歩五分、一見普通の民家なのですが、一階がひろびろとしたスタジオになっていて、ソプラノ/アルト/ベースの3セットが常設のよう。写真のとおり、あまりにもシンプルな楽器なんだけど、近くで見ると何種類もの太さの違う絹糸が張られてるのがわかる。すうっとなぜるとバイオリンのように澄んで伸びる音色だし、二本の指で弾けば勢いのいい音色になるし、ピックで細かく刻めばパーカッションのように甲高い音になる。想像以上に多彩で、飽きのこない演奏でした。

弦楽曲を演るときの相性の良さはもちろんなんだけど、要は全音階をきちんと刻んだ楽器なので、なんでも弾ける。ポニョとか鬼太郎のテーマには笑ったけど、いきなりライディーンやり始めたりして腰を抜かしたり。オリジナル曲は、メロディだけじゃなくて各パートの振り付けとしての動きまで考えて作られていてうつくしかった。

この楽器、結構いろんなところで公演をしているらしいけれど、きちんと音響の整ったホールでならば完全に生音だけで演奏が出来ると聴いて驚いた。オペラシティのホールで、ソプラノ歌手とセッションしたりもしてるんだって!ただの絹糸と紙コップなのになー。自分でもやってみたい。部屋に張るか。

そうそう、UKAWANIMATION!の撮影はまるまる一日かけて何十テイクも撮ったとのこと。15年もストリングラフィを演奏してるけど、自分たちでも初めて見るようなアングルがあって驚いたらしい。出来上がった作品にはもっと驚いたらしい。そりゃそうよね…。

通常の公演はこんなかんじ。ひらひらと舞う姿もみどころです。


Calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< March 2024 >>

ABOUT THIS BLOG

アナタの明日を彩るための音楽を、
ほぼ日刊で紹介していきます。

>>introduction

Archive

Mobile

qrcode

Selected Entry

Comment

  • Landed(live) / Laika Came Back
    nick
  • 「スガシカオは如何にして10年選手のミュージシャンとなったか」
    あおき
  • 「スガシカオは如何にして10年選手のミュージシャンとなったか」
    ニッチ
  • If it's good for me / Stars And Sons
    Sani
  • If it's good for me / Stars And Sons
    あおき
  • If it's good for me / Stars And Sons
    Sani
  • ASH at 恵比寿Liquidroom
    あおき
  • ASH at 恵比寿Liquidroom
    yori
  • ASH at 恵比寿Liquidroom
    あおき
  • ASH at 恵比寿Liquidroom
    Sani

Link

Profile

Search

Other

Powered

無料ブログ作成サービス JUGEM