「臍を噛む」という用例以外に「ほぞ」という言葉を目にするとは思わなかった。しかも、アルバムタイトルで。

名古屋を中心に活動するClimb The Mindの2ndフルアルバム。ジャケットに呼びとめられたような気がして、聴いてみたら大正解。初めて聴くのにどこかなつかしい気持ちになる不思議(あの曲に似てる、とかそういう意味ではなく)。肩ひじ張ったところもなく、とてもフォーキーだけど、時折押さえきれない想いがあふれてしまう言葉とサウンドにグッとくる。なんでいくつになってもこういうバンドが好きになっちゃうのかなあ。ライヴ、見てみたい。

淡々とつづられる変哲のない言葉の積み重ねに、なぜかはっとさせられる。いざブックレットを見てみたら、驚いたというか、納得したというか。確かにこのようにして読まれてもあまり違和感がない。

■Climb The Mind official site

Climb The Mind | Myspace Music Videos



「旅路はその一歩目から、家路をたどる道を歩みだす」

とは、いったい誰の言葉だったか。先行してリリースされた「旅路のアルバム」こと ”pilgrim" から、もうずいぶん。リリースからも数ヶ月遅れでようやく「家路のアルバム」を手にしました。

リリース直後の新緑まぶしい5月ではなく、この季節にパッケージをあけてよかったと思うのは、幕開けとなる曲が「Harvest Moon」だったこと。そう、"pilgrim" では「harvest moon theme」と題され英語詞でうたわれていた楽曲が、日本語の詞と楽しげでポップなアレンジを身にまとってもう一度収録されている。そしてうたわれるのは、実り豊かな豊饒の季節、九月。ワオ!

何年も前から繰り返し耳にして、あいまいに覚えていた曲が自分の手元で鳴ること(あるいは、まったく違う姿で現れること)は、こんなにも幸せなのかとあらためて思う。今作の中でいちばん思いぶかい「Hanalee」を初めて聴いたのは2007年のクリスマスで、その後もライヴで聴くたびに驚いている自分がちょっとほほえましいくらい。

山田さんの書く言葉や曲は、ごく個人的な出来事を書いているようでありながら、とても大きな物語の一部を紡いでいる気がする。その全容がわかる日はくるのだろうかと思いつつも、まずはこの二枚をぐるぐると聴くことにします。

■myspace:山田稔明(全曲試聴できます)
■Tomorrow's Song:pilgrim / 山田稔明



音楽を取り巻く環境はどんどん複雑になって、CDは全然売れなくなって、いわゆる「ギョーカイ」は深刻な状態らしくて。だけど、すてきな音楽は、数々のひとの手によって今この時にも生まれてきてるんだ、ということを再確認できてとてもうれしいです!という一枚をご紹介。元Treeberrysという枕詞ももう古いのかしら、渡来宏明(わたらいひろあき)氏の新作がリリースされていました。ああ、ソロリリースがあったことすら知らなかっただなんて!

とにかく骨太で、キャッチー。難しいことはなんにもないような、シンプルに聞かせるロックンロール。「ウォール・オブ・サウンド」的なちょっと古めかしいサウンドメイクも、ゴージャスに重なりあいうねるコーラスラインも、ドライヴ感満点のギターも好きすぎる。Treeberrysの時も感じてたんだけど、リズムの早さ以上にスピード感があるのです、彼の楽曲って。夢中で走ってるうちに、ふっと体が浮いていくような疾走感。ぜんぜん変わっていなくて安心した。

ドラムはnudge'm allのサルーン氏、それ以外の楽器はすべて彼の手による自主製作でのリリース作品。myspaceにあがってる2曲を聴いて、即オーダしました。届くのが楽しみ過ぎる!

■ Wattack Records
■ myspace: 渡来宏明

先日も書きましたが、Turntable Films、すごく良いです。
アルバム「Parables of Fe-fum」は、洋楽インディーと共振する日本のバンドが増えてきた昨今においても、ありそうでなかった一枚。

http://www.myspace.com/turntablefilms



クラスヌのDJでもある田中亮太氏によるオフィシャル・レビューの言葉を借りるなら「京都のノア・アンド・ザ・ホエール」。他に名前を挙げるならばthe boy least likely toや、lightspeed chanmpionといった、北米インディバンドに影響を受けたいわゆるアンタイ・フォーク勢に通じる、フォークやカントリーテイストのポップス。洋楽インディー・ロックを彷彿とさせる日本のバンドというと、エレクトロやニュー・レイヴ風か、ギターロックのバンドはすぐに浮かぶけれど、こういった路線のバンドはなかなかいないんじゃないでしょうか。しかもそれを今狙って出しているというよりは、ただ好きな音を自然に出そうとしているだけのような。そこがまた凄い。

アルバムは勿論なのですが、JetsetやFlake recordといったレコードショップの購入特典として制作された、四曲入りのデモCD-Rが、これまた凄い。ヴォーカル井上陽介氏による弾き語りスタイルで録音されたのは、HANDSOMEBOY TECHNIQUE、DANIEL JOHNSTON、BADLY DRAWN BOY、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTという4組のカヴァー。HANDSOMEBOYはレーベル・メイトだし、ダニエル・ジョンストンやBDBはまぁ違和感がないというかすんなり頷けるチョイスだけれど、まさかのミッシェル。しかも「カーテン」という、ミッシェルファンの中でもレア曲ともいえる、ミドルテンポのオルタナ・チューン。深めにリヴァーヴのかかった、シューゲイズっぽい感じのアレンジで歌われているのだけれど、かなり新鮮な響き。

曽我部恵一さんの日記で紹介されていて知った。まつきあゆむさん。1月1日に「1億年レコード」という二枚組のアルバムを、自身のサイトによるメール受付・ダウンロード販売のみでリリースしたばかり。今日知ったので当然まだ全曲を聴く事はできていないのですが、youtubeやMyspaceで聴く事のできるティーザー音源を繰り返し聴いています。



このアルバムも手元に届いたらこの場でレビューを書きたいと思いますが、もしかしたらもうここをご覧の方だと、既に手にしている人の方が多いかもね。俺とか耳遅いっすから。なんせ、このアルバムの発売予約がスタートしたのはひと月も前、12月1日のことだし、彼のオフィシャルウェブサイトやMyspaceは勿論、TwitterとUstreamを駆使したリアルタイムな創作発表を行っているから。なんで今まで耳にする機会が無かったんだろうっていうのが自分でも不思議なくらい。
強引に第一印象を言うならば、「メロウ・ゴールド」時のベックが、現在の「レコード・クラブ」のような形態で音楽活動をしている感じ。宅録オルタナ・フォークっぽい音の感触も勿論そうだし、とにかく、自分のペースで制作し、それを自分の考えるベストなやり方で届けよう(しかも、出来るだけすぐに)というDIYなスタンスに共通したものを感じる。

そして毎週月曜日に更新しているという「新曲の嵐」シリーズ。最新の今日、「さよならブラックバード」というタイトルの歌が、フリーダウンロード配信されました。
リンクに飛んで歌詞を読んでもらえば一目瞭然だと思うけれど、2009年の最後に突然去ってしまった音楽家に捧げられた歌。レクイエムでもスワン・ソングでもない、この悲しみをどうすりゃいいの的なやるせなさはあっても決してそれだけではない、それでもこの2010年に生きていて、音楽を聴くもの/作るものとしての心構えというか決意のようなものを感じさせられる。個人的には、中村一義'魂の本'の「ただ僕らは絶望の『望』を信じる」なんて歌詞を思い出したりもして、この曲を聴いて、ようやく2010年を迎えられたような気がします。

まつきあゆむ Myspace:'さよならブラックバード'free download


http://www.myspace.com/younghusbandmusic


エマちゃんの話で、一つ話忘れていたことがありました。
そう、今年10月の朝霧JAM。エマちゃん感動のステージの終了後、サイン会があったんです。で、当然のごとく行って、既に持っているCDを買い、並びました。で、その場で買ったCD持ってるだけじゃそこらの草食ボーイ達と差がつかんと思い、ただでさえキャンプ道具で荷物多い中、しっかり家からエマちゃんのアナログを持って行ったんです。用意周到の割に、緊張しすぎるあまり、満足に話すことはおろか、写真取ってもらうこともできなかったからね。本当に好きすぎる人の前に立つと、何もできなくなるんです。せっかくエマちゃん、俺の着てたレディオヘッドのTシャツ見て「あら、レディヘ?」とか話しかけてくれたのにね。秘すれば花ってね。ナハハ。
で、そんな感じで氷のように固くなりながらアナログをエマちゃんに差し出すと、エマちゃんの隣でギターを弾いていた、まだ時差ボケが抜けてないような気怠い顔の青年が、突如懐から一枚のレコードを取り出し、無言で僕に渡して来たのでした。最初何のことか訳分からず「俺に?」って思わず日本語で訊いてしまいました。サイン会でレコードもらうなんて夢にも思わないし。おかげで横にいるエマちゃんのことも一瞬吹っ飛んでしまいました。


というわけで、Emmy The Greatでギターとコーラスを務める、Euan Hinshelwood君のメインバンド、YounghusbandのEP"Idiot Sun"を僕はEuan君本人から頂いたのでした。

サウンドの方はEmmy the greatにも通じる、シンプルなギター・バンドのフォーマットで鳴らされる歌もの。ちょっとグラスゴーっぽい雰囲気も漂う、もっと言うと今は亡き下北ハイライン・レコードに置いてありそうな。
しかしサイン会並んだ人、他にももらった人いるのかな?

ハンキーパンキーと聞くと、まずはハナレグミの名曲を思い出す方も多いと思いますが、今日は兄弟パンダのお話。もう一年近くまえの企画になりますが、auの絵文字動物がそれぞれキャラクター設定&中の人設定をされて「デコレ村オールスターズ」と銘打って音楽活動をしていたことがあったのです。

キャンペーン自体はCDリリース&一度だけの企画ライヴで終わってしまったのですが、このハンキーパンキーこと黒沢兄弟のミニアルバムが本当に名盤。古き良きポップスマナーに従順で、重なりあうコーラスの響きに魅了されっぱなし。

そして、ラスト・トラックの「上を向いてあるこう」が本当によいのです。リリース前の与太話で「Be My Babyで上を向いてあるこうをやろうと思ってさ」なんて言っていて、なんじゃそれはと思ってたんだけど全く持って語義通りでした。かつてイワホリが「あの印象的なキックは、きっと、恋に落ちる直前の、胸の高鳴り」と激賞した(あまりにクサい言い回し過ぎて忘れられない)キックのリズムとウォール・オブ・サウンドなアレンジをそのまんま流用しつつ、全編通して兄弟がハモりたおすソースウィートな名カヴァー。

http://www.myspace.com/decoremura016

ちなみにストラト使い左パンダこと黒沢(兄)ともうひとりのエルアールことベース木下氏が下記のバラカン氏とおんなじビートルズリイシューイベントにて対談。これもずいぶん暑苦しいFAB4話になりそうです。
出演:黒沢健一・木下裕晴
開催日:2009年9月13日(日)
時間:14:00スタート
場所:タワーレコード新宿店 7F ※観覧フリー
http://www.towerrecords.jp/store/event/1101.html
http://natalie.mu/news/show/id/20719

The First Star~上を向いて歩こう~(ハンキー・パンキー)FLASH PV



「レコードも、喜びも、きれいな傷に変わる」

札幌のバンドをもうひとつ。マンチェ魂全開の兄弟バンド、リボルバー・アホスター。自らアホを名乗るたあ剛毅な連中でございます。ちなみにヴォーカル/ギターとドラムは兄弟。年が離れてるのにびっくりするくらい似ているらしい。

ここ最近盛り上がってるダンスフロア経由のキラキラしたヴォコーダー・エレクトロ・ロックよりはちょっと昔、ハシエンダ華やかなりし時代のファクトリーレコードなんかを参照点にしたような、非打ち込み系の爆音で踊るロック。オアシスの2ndかと思うくらいのやんわり歪んだギターの音色とか、永盛兄の憂いある歌声もたいへんに好み。1stのタイトルが「THE NORTHERN ANTHEM」ってのもグッと来ちゃう。

彼ら、去年のライジングサンに出てたんだよなあ(さらに前年にはサカナクションが出てた深夜のRISING☆STAR枠)。寒さに震えて見に行かなかったのが悔やまれます。なかなか道外ではライヴないみたいで。うーん、見たい。

■official site:REVOLVER AHOSTER
■myspace:REVOLVER AHOSTER



北海道出身のがっつり男前なロックバンドって結構多い。それこそ怒髪天とかピロウズみたいなベテラン組から、モノブライトとかサカナクションとかの今勢いあるバンドとか、下北沢で頑張ってる(た)若いバンドまで。ということは、彼らの地元である北海道/特に札幌シーンはたいそうホットなわけで。東京にいるとなかなか知り得ないのだけど、素敵なバンドとざくざく出会ってきました。

ジェイク・ストーン・ガレージ、2002年結成のスリーピースバンド。巻き舌でがなるヴォーカルと攻撃的に尖ったギター、ギターを喰いそうな勢いでうねるベース、タイトでシャープなドラム。兄さん達ちょう男前っす。たまんないっす。サトシ氏の声や歌い方はちょっとチバを彷彿とさせるし、ザラリとした質感で駆け抜ける音の質感や、PUB ROCKやモッドな時代の音を通過してきたのであろうロックンロールぶりになんだかニヤリとさせられる。なんかいいよね、こういうの。

8/19に、Mellowhead/GHEEEの深沼氏をプロデューサーに迎えたシングルがリリース。爆音に意識全部持っていかれる感じの、疾走感に溢れるロックンロールチューンであります。これを引っさげて、全国ツアー(!)が間もなくスタート、新譜も含めてmyspaceでたっぷり聴けますのでどぞ。でも、音源だけじゃ物足りないです、このバンド。ライヴ楽しみ。

■myspace: jake stone garage

日本で一番カメラワークのいやらしい(褒め言葉)ライヴ番組、夢チカのライヴ映像。ああもう、ちょうおとこまえ!



「今夜ちょっとDJやらない?」って誘われたら、いま鞄に入ってるこれと、行きがけにレコ屋に行ってもう一枚同じものを買えば準備オッケー。そんな失敬なことを言ってしまいそうになるくらいに惚れた。夜中のクラブで酔っぱらって爆音で踊りたい。小さなライヴハウスでもみくちゃにされてシンガロングしたい。あー!

年に一度くらいどこのものとも知れぬ若いバンドに強烈な一目惚れをすることがあるのですが、今年は彼らみたいだ。NO TIME FOR というイタリアのバンド、なぜか日本盤のみのリリース。ごっつり骨太のバンドサウンド+間隙を縫うようなチープなエレクトロ+おもわず口角が上がってくる胸キュンメロディ+かわいめと渋めのツインヴォーカル+いかにもイタリア産の伊達男5人。ほら、もう勝ち目がありません。やんちゃなパフォーマンスもたまんない。

海外のバンドではあるけれど、新宿MARZが似合いそう。さらに言うならあのお店の看板イベント、ライヴ+DJパーティである “FREETHROW” のひたすらピースフルな雰囲気が。もし海外バンドでフリスロ組むことがあればぜひよろしくお願いします、タイラ店長!

■myspace:NO TIME FOR


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